【一人社長向け】初めての年末調整のやり方とスケジュール|申告書の集め方から源泉徴収票の提出まで(2026年版)
「今年初めて従業員を雇った。年末調整って、社長の自分がやらないといけないの?」「何をいつまでに集めて、何を出せばいいのか全体像がわからない」——ひとり社長として会社を回してきた方が、初めて従業員を雇った年に直面するのが年末調整です。
結論から言うと、年末調整は「11月に書類を配って集める → 12月に税額を計算して精算する → 1月に源泉徴収票を渡して役所に提出する」という3つの段階で進めます。この記事では、従業員を雇ったひとり社長が初めて年末調整をするときの流れを、2026年(令和8年分)のスケジュールに沿ってわかりやすく解説します。
なお、税法は税制改正などによって変わることがあります。本記事は執筆時点の情報をもとにしていますので、実際に手続きをする際は、その時点の最新情報を国税庁のWebサイトなどで確認するようにしてください。
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年末調整とは?なぜ会社がやるのか
従業員の給与からは、毎月源泉所得税を差し引いて納めています。ただ、毎月の源泉徴収はあくまで概算なので、生命保険料控除や配偶者控除などは反映されていません。そこで、1年間の給与と各種控除をもとに正しい所得税額を計算し、払いすぎ・不足を精算するのが年末調整です。
年末調整は、給与を支払う会社(源泉徴収義務者)が行う義務です。従業員が1人でも、社長ひとりの会社でも、給与を支払っていれば対象になります。
年末調整の対象になる人
| 対象者 | 年末調整 |
|---|---|
| 年末まで在籍し、扶養控除等申告書を提出している従業員(パート・アルバイトを含む) | ◯ 対象 |
| 年の途中で入社した従業員(前の勤務先の源泉徴収票を提出してもらう) | ◯ 対象 |
| 社長(役員)本人(扶養控除等申告書を提出している場合) | ◯ 対象 |
| 扶養控除等申告書を提出していない人(ほかの会社がメインの副業の人など) | ✕ 対象外 |
| 年間の給与が2,000万円を超える人 | ✕ 対象外(本人が確定申告) |
| 年の途中で退職した人 | ✕ 原則対象外(再就職しなければ本人が確定申告) |
見落としやすいのが、社長自身も年末調整の対象になることです。会社から役員報酬を受け取っているなら、従業員と一緒に社長の分も年末調整を行いましょう。
年末調整の全体スケジュール(2026年・令和8年分)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 10月〜11月上旬 | 準備:国税庁の資料・ソフトの確認、対象者の洗い出し、申告書の用意 |
| 11月上旬〜中旬 | 従業員に申告書を配布し、記入方法を案内 |
| 11月下旬〜12月上旬 | 申告書と控除証明書を回収し、内容をチェック |
| 12月 | 年税額を計算し、12月の給与(または賞与)で過不足を精算 |
| 翌年1月10日まで(納期の特例なら1月20日まで) | 12月分(特例なら7〜12月分)の源泉所得税を納付 |
| 翌年1月31日まで | 源泉徴収票を従業員に交付、税務署へ法定調書を提出、市区町村へ給与支払報告書を提出 |
※期限が土日祝日の場合は翌平日になります。2027年1月は、1月10日が日曜日・11日が祝日(成人の日)のため1月12日、1月31日が日曜日のため2月1日が期限の目安です。実際の期限は国税庁・各市区町村の案内で確認してください。
ステップ1:準備(10月〜11月上旬)
- 国税庁の資料を確認する:国税庁のWebサイトに「年末調整のしかた」などの手引きや、各種申告書の様式・記載例が掲載されます。今年(令和8年分)の変更点も確認しておきましょう。
- 対象者を洗い出す:年末まで在籍する従業員と社長本人のうち、扶養控除等申告書を提出している人をリストにします。
- 年の途中入社の人を確認する:前の勤務先の源泉徴収票を提出してもらう必要があります。早めに依頼しましょう。
- やり方を決める:紙の申告書で行うか、国税庁の「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(無料)や給与計算ソフトを使って電子で行うかを決めます。
2026年(令和8年分)の主な変更点
令和8年分の年末調整では、基礎控除や給与所得控除の最低保障額の引き上げ、扶養親族などの所得要件の見直し(給与収入のみなら136万円以下)などが反映されます。申告書の書き方や変更点の詳細は、「【2026年】年末調整の書き方|令和8年分の変更点と申告書の記入ポイント」で解説しています。
ステップ2:申告書の配布(11月上旬〜中旬)
従業員(と社長本人)に、次の申告書を配布します。
| 申告書 | 内容 | 提出する人 |
|---|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養している家族の情報。今年分の内容確認と、翌年(令和9年)分の提出を行う | 全員 |
| 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | 本人の所得の見込み、配偶者や19〜22歳の家族などの控除 | 全員(基礎控除を受けるため) |
| 保険料控除申告書 | 生命保険料・地震保険料・自分で払った社会保険料・iDeCoの掛金など | 該当する人 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除(2年目以降) | 該当する人 |
配布するときは、提出期限(例:11月25日)と、添付が必要な書類(生命保険料の控除証明書、前の勤務先の源泉徴収票など)を一緒に伝えましょう。少人数の会社なら、記入例を印刷して渡すか、一緒に書きながら説明すると、記入ミスを減らせます。
ステップ3:回収とチェック(11月下旬〜12月上旬)
回収した申告書は、次の点をチェックします。
- 記入漏れがないか:氏名・住所・マイナンバー・扶養親族の情報など
- 扶養親族の所得要件を満たしているか:今年の基準(給与収入のみなら136万円以下など)で判定されているか
- 控除証明書が添付されているか:保険料控除申告書の金額と控除証明書の金額が一致しているか
- 配偶者の「収入」と「所得」を取り違えていないか:配偶者控除等の欄は「所得」の見積額を書く
- 年の途中入社の人の前職分:前の勤務先の源泉徴収票が提出されているか
マイナンバーが記載された申告書は、鍵のかかる場所に保管するなど、取り扱いに注意しましょう。申告書は、提出期限の翌年1月10日の翌日から7年間の保存が必要です。
ステップ4:年税額の計算と過不足の精算(12月)
申告書の内容をもとに、1人ずつ1年間の正しい所得税額(年税額)を計算します。
- 1年間の給与・賞与の総額(前職分を含む)を集計する
- 給与所得控除後の金額を求める
- 社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除などを差し引く
- 税率を掛けて所得税額を出し、住宅ローン控除などを差し引いて年税額を求める
- 1年間に源泉徴収した税額と比べて、多ければ還付、少なければ追加で徴収する
計算は複雑なので、給与計算ソフトや国税庁の資料の計算表を使うのが現実的です。精算は、12月に支払う最後の給与(または賞与)で行うのが一般的です。12月の給与の支払いに間に合わない場合は、翌年1月の給与で精算することもできます。
還付・徴収の仕訳例
例:年末調整の結果、従業員Aさんに5,000円を還付する場合(12月給与で精算)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 預り金(源泉所得税) | 5,000円 | 普通預金(給与に上乗せして支払い) | 5,000円 |
還付する金額は、会社が12月分(納期の特例なら7〜12月分)として納める源泉所得税から差し引いてまかないます。差し引ききれない場合は、翌月以降の納付額から差し引くか、税務署に還付を請求します。
ステップ5:源泉所得税の納付(翌年1月)
- 原則:12月分の源泉所得税(年末調整の過不足を反映した金額)を翌年1月10日までに納付
- 納期の特例を受けている場合:7月〜12月分をまとめて翌年1月20日までに納付
納付書(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)には、年末調整による不足税額・超過税額を記入する欄があります。e-Taxでの納付も可能です。
ステップ6:源泉徴収票の交付と提出(翌年1月31日まで)
| 書類 | 提出・交付先 | 対象 |
|---|---|---|
| 源泉徴収票 | 従業員本人(社長本人分も作成) | 全員 |
| 源泉徴収票(税務署提出用)+法定調書合計表 | 税務署 | 源泉徴収票は一定の金額を超える人のみ(例:年末調整をした役員は年150万円超、従業員は年500万円超)。合計表は全事業者が提出 |
| 給与支払報告書(総括表・個人別明細書) | 従業員の1月1日時点の住所地の市区町村 | 原則として全員 |
社長ひとりと従業員数人の会社でも、社長本人の給与支払報告書も含めて、それぞれの住所地の市区町村に提出が必要です。従業員の住所地が違えば、提出先の市区町村も別になります。
前々年に税務署へ提出した源泉徴収票の枚数が一定数以上の場合は、e-TaxやeLTAXでの電子提出が義務になります(2027年1月以降の提出分から、基準が100枚以上から30枚以上に引き下げられる予定です)。少人数の会社は紙での提出もできますが、e-Tax・eLTAXを使えばまとめて電子で提出でき、手間が減ります。
初めての年末調整でつまずきやすいポイント
- 社長本人の年末調整を忘れる:役員報酬を受け取っているなら、社長も対象です。
- 翌年分の扶養控除等申告書の回収を忘れる:来年1月からの毎月の源泉徴収に必要です。
- 途中入社の人の前職分を入れ忘れる:前職の源泉徴収票がないと、正しく計算できません。
- 給与支払報告書の提出先を間違える:会社の所在地ではなく、従業員の住所地の市区町村です。
- パートやアルバイトを対象外にしてしまう:扶養控除等申告書を提出していれば、パートでも年末調整の対象です。
不安な場合は、最初の1年だけでも税理士や社会保険労務士に依頼し、2年目から自分で行うという方法もあります。
年末調整の作業をラクにするなら
従業員が少なくても、申告書の回収、年税額の計算、源泉徴収票・給与支払報告書の作成と提出まで、すべて手作業で行うのは大変です。給与計算ソフトを使えば、従業員がスマホやパソコンで申告書を作成でき、年税額の計算から源泉徴収票の作成、電子提出までまとめて行えるものもあります。
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まとめ
- 年末調整は、給与を支払う会社の義務。従業員が1人でも、社長本人も対象になる
- 流れは「11月に申告書を配って集める → 12月に計算・精算 → 1月に納付・交付・提出」
- 配布する申告書は、扶養控除等申告書(今年分の確認と翌年分)・基礎控除申告書等・保険料控除申告書など
- 過不足は12月の最後の給与で精算し、源泉所得税は1月10日(納期の特例なら1月20日)までに納付
- 1月31日までに、源泉徴収票の交付、税務署への法定調書、従業員の住所地の市区町村への給与支払報告書の提出
- 令和8年分は基礎控除・扶養の所得要件などが変わっているので、最新の基準で判定する
- 税法は改正されることがあるため、手続きの時点で最新のルールを確認する
初めての年末調整は戸惑うことも多いですが、流れを一度経験すれば、翌年からはぐっとスムーズになります。判断に迷う場合は、税理士や税務署に相談しましょう。
※本記事は2026年11月時点の税法・情報をもとに作成しています。税法は税制改正などにより変わることがあるため、実際に手続きをする際は国税庁のWebサイトや各市区町村の案内で最新の情報を確認し、個別の判断については税理士等の専門家にご確認ください。