中古で買った資産の耐用年数の決め方|簡便法の計算方法と、見積法との使い分け

「中古の車を事業用に買ったけれど、新車と同じ6年で減価償却していいの?」「中古の機械や中古の建物は、耐用年数をどう決めればいい?」——中古で資産を買ったときに迷いやすいのが、耐用年数の決め方です。

中古資産は、すでに何年か使われているため、新品と同じ法定耐用年数をそのまま使う必要はありません。残りの使用可能期間を見積もる「見積法」か、見積もりが難しい場合は計算式で求める「簡便法」を使って、新品より短い耐用年数で減価償却できます。

この記事では、中古資産の耐用年数の決め方を、簡便法の計算方法を中心に、車・機械・建物の計算例とあわせてわかりやすく解説します。

なお、税法の取扱いは改正されることがあります。本記事は執筆時点の情報をもとにしていますので、実際に処理をする際は、国税庁などの最新情報を確認するようにしてください。

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中古資産の耐用年数は3つの方法から決める

方法 内容 使えるケース
見積法 その中古資産を、事業に使い始めてからあと何年使えるかを見積もって、その年数を耐用年数とする 残りの使用可能期間を合理的に見積もれる場合
簡便法 法定耐用年数と経過年数から、決められた計算式で耐用年数を求める 使用可能期間の見積もりが難しい場合(多くの中小企業・個人事業主はこちら)
法定耐用年数 新品と同じ法定耐用年数を使う 見積法・簡便法を使わない場合や、使えない場合

中古資産の耐用年数は、原則として見積法で決めることになっていますが、実際には、使用可能期間を合理的に見積もるのは簡単ではありません。そのため、多くの場合は簡便法が使われています。

簡便法の計算方法

計算式

ケース 耐用年数の計算式
法定耐用年数の全部が経過している 法定耐用年数 × 20%
法定耐用年数の一部が経過している (法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 20%
  • 計算した年数に1年未満の端数があるときは、切り捨てる
  • 計算した年数が2年に満たないときは、2年とする
  • 経過年数は、その資産が新品として作られた(使われ始めた)時から、買った時までの期間。車なら初度登録年月から数える

月数で計算するとより正確

経過年数に1年未満の端数がある場合は、月数に換算して計算し、最後に年数に直して端数を切り捨てます。たとえば、法定耐用年数6年(72か月)の普通自動車で、経過期間が3年5か月(41か月)の場合は次のようになります。

(72か月 - 41か月)+ 41か月 × 20% = 31か月 + 8.2か月 = 39.2か月 → 3年(1年未満切り捨て)

どんなに古くても耐用年数は「最短2年」

簡便法で計算した耐用年数が2年に満たない場合は、2年とするルールがあります。つまり、中古資産の耐用年数は、どれだけ古いものでも最短2年です。1年で全額を経費にすることは、原則としてできません。

最短の2年になる資産の目安

法定耐用年数が10年未満の資産は、法定耐用年数がすべて経過していれば、計算結果(法定耐用年数 × 20%)が2年未満になるため、耐用年数は2年になります。一部だけ経過している場合でも、経過年数によっては2年になります。

資産(法定耐用年数) 耐用年数が最短の2年になる経過年数
普通自動車(6年) 4年以上経過(いわゆる「4年落ち」)
軽自動車(4年) 2年以上経過
パソコン(4年) 2年以上経過
貨物自動車・ダンプなど(4〜5年の区分) おおむね2〜3年以上経過
木造の事務所・店舗(22年) 2年にはならない(全部経過でも4年)

※車両の法定耐用年数は、種類や用途によって異なります。国税庁の耐用年数表で確認してください。

法定耐用年数が10年以上の資産(建物など)は、すべて経過していても「法定耐用年数 × 20%」が2年以上になるため、最短の2年にはなりません。

耐用年数2年だと、減価償却費はどうなる?

償却方法 耐用年数2年の償却率 減価償却の進み方
法人(車・機械など) 定率法(届出をしない場合) 1.000 取得した事業年度に、使い始めた月からの月割りで償却できる。期首に取得すれば、1年目で取得価額のほぼ全額(備忘価額1円を残す)を償却できる
個人事業主 定額法(原則) 0.500 1年に取得価額の半分ずつ、2年で償却する(年の途中で取得した場合は月割りのため、3年にわたることもある)

たとえば、3月決算の法人が4月(期首)に4年落ちの中古車を300万円で買った場合、定率法の償却率1.000で、その事業年度に約300万円(備忘価額1円を除く)を減価償却費にできます。一方、10月に買った場合は、10月〜3月の6か月分なので、300万円 × 1.000 × 6/12 = 150万円が1年目の減価償却費となり、残りは翌事業年度に償却します。

さらに注意したいのが、年度末(決算月)に購入した場合です。耐用年数が2年でも、減価償却は事業に使い始めた月からの月割りで計算するため、決算月に買って使い始めた場合は、その事業年度に償却できるのは1か月分だけです。

ケース(中古車300万円・耐用年数2年) 1年目に償却できる金額
法人(3月決算・定率法)が3月に購入して使い始めた 300万円 × 1.000 × 1/12 = 25万円
個人事業主(定額法)が12月に購入して使い始めた 300万円 × 0.500 × 1/12 = 12.5万円

「決算の直前に中古車を買えば、その年に大きな経費が出る」と考えがちですが、実際には1か月分しか経費にならず、残りは翌年度以降に回ります。また、購入しただけで、実際に事業に使い始めていない場合は、その年度には減価償却そのものができません。年度末の駆け込みで買う場合は、この点を踏まえて判断しましょう。

このように、耐用年数が最短の2年になると、短期間で多くの金額を経費にできるため、中古車などが節税の手段として注目されます。ただし、次の点には注意が必要です。

  • 経費の合計額は変わらない:前倒しで経費にした分、翌年以降の減価償却費はなくなる
  • 売却時の利益が大きくなる:償却が進んで帳簿価額が小さいほど、売ったときの利益(法人は益金、個人事業主は譲渡所得など)が大きくなる
  • 事業に必要な資産であることが前提:節税だけを目的とした購入や、私的な使用が多い場合は、経費として認められないおそれがある
  • 期中の取得は月割り:年度末(決算月)に買った場合は1か月分しか償却できない。使い始めていなければ償却はゼロ

資産別の計算例

車(普通自動車:法定耐用年数6年)

経過年数 計算 耐用年数
2年 (6 - 2)+ 2 × 20% = 4.4年 4年
3年 (6 - 3)+ 3 × 20% = 3.6年 3年
4年 (6 - 4)+ 4 × 20% = 2.8年 2年
6年以上(全部経過) 6 × 20% = 1.2年 2年(2年未満は2年)

いわゆる「4年落ちの中古車」が節税になると言われるのは、耐用年数が最短の2年になるためです。高級車や中古車の注意点は「高級車は経費になる?新車と中古車の違い・『4年落ち』が選ばれる理由と注意点」で解説しています。

軽自動車(法定耐用年数4年)

経過年数 計算 耐用年数
1年 (4 - 1)+ 1 × 20% = 3.2年 3年
2年 (4 - 2)+ 2 × 20% = 2.4年 2年
4年以上(全部経過) 4 × 20% = 0.8年 2年

建物(木造の事務所・店舗:法定耐用年数22年の例)

築年数 計算 耐用年数
10年 (22 - 10)+ 10 × 20% = 14年 14年
15年 (22 - 15)+ 15 × 20% = 10年 10年
22年以上(全部経過) 22 × 20% = 4.4年 4年

※建物の法定耐用年数は、構造(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など)と用途(住宅、事務所、店舗など)によって異なります。国税庁の耐用年数表で確認してください。

機械・パソコンなど

機械装置は業種ごとに、パソコンなどの器具備品は種類ごとに法定耐用年数が決まっています。たとえば、パソコン(サーバー用以外)の法定耐用年数は4年なので、中古で2年経過したものなら(4 - 2)+ 2 × 20% = 2.4年 → 2年になります。

なお、取得価額が10万円未満なら全額をその年の経費にでき、20万円未満なら3年で均等に償却する一括償却資産、中小企業者等なら30万円未満の少額減価償却資産の特例も使えます。これらは中古資産にも適用できるので、金額が小さい場合は耐用年数を計算する前に確認しましょう。

見積法を使うケース

見積法は、その中古資産をあと何年使えるかを、資産の状態や使い方から合理的に見積もる方法です。たとえば、次のような場合に使われます。

  • メーカーや専門業者が、残りの使用可能期間を評価してくれた
  • 大規模な整備やオーバーホールをした機械で、使用可能期間が明確に見込める
  • 簡便法で計算した年数と、実際の使用見込みが大きくかけ離れている

見積法を使う場合は、なぜその年数にしたのかを説明できる資料(専門家の意見書、点検記録など)を保存しておくことが大切です。根拠がない見積もりは、税務調査で否認されるおそれがあります。

簡便法が使えない・使わないほうがよいケース

買った後に大きな改修(資本的支出)をした場合

中古資産を事業に使うために、修理や改良などの資本的支出(資産の価値を高めたり、使用可能期間を延ばしたりする支出)をした場合は、その金額によって次のように扱いが変わります。

資本的支出の金額 耐用年数の決め方
中古資産の取得価額の50%以下 簡便法を使える
中古資産の取得価額の50%を超える 簡便法は使えない(見積法、または一定の方法で計算した年数)
その資産を新品で買う場合の価額(再取得価額)の50%を超える 法定耐用年数を使う

中古の建物を買って大規模なリフォームをした場合などは、この判定に注意が必要です。

簡便法を選べるのは「取得した年度」だけ

簡便法(または見積法)は、その中古資産を事業に使い始めた年(事業年度)に選ぶ必要があります。最初の年に法定耐用年数で償却を始めてしまうと、翌年以降に簡便法に切り替えることはできません。中古資産を買ったら、最初の決算・確定申告で耐用年数を決めておきましょう。

短い耐用年数が有利とは限らない

耐用年数が短いほど、1年あたりの減価償却費は大きくなり、早く経費にできます。ただし、経費にできる合計額は変わらないので、早く経費にした分、後の年の経費は少なくなります。

  • 購入した年の利益が少ない場合(赤字など)は、短い耐用年数で償却しても節税の効果が小さい
  • 個人事業主の場合、赤字を繰り越せるのは青色申告で3年まで。経費を前倒ししすぎると、使い切れないことがある
  • 早く償却を終えた資産を売却すると、売却益が大きくなる(法人は益金、個人事業主は譲渡所得など)

なお、簡便法は使うかどうかを選べるので、法定耐用年数を使うこともできます(ただし、選べるのは取得した年度のみ)。

減価償却の方法と計算例

耐用年数が決まったら、償却方法に応じた償却率で減価償却費を計算します。

  • 個人事業主:原則として定額法
  • 法人:建物・建物附属設備・構築物などは定額法、それ以外(車や機械など)は届出をしなければ定率法

たとえば、個人事業主が4年落ちの中古車(耐用年数2年)を300万円で1月に買い、事業専用で使った場合、定額法の償却率は0.500なので、1年目・2年目の減価償却費はそれぞれ150万円(最終年は備忘価額1円を残す)になります。年の途中で買った場合は、使い始めた月からの月割りで計算します。

プライベートでも使う場合は、事業で使った割合(家事按分)だけを経費にします。按分の考え方は「個人事業主の家賃・光熱費・通信費の按分の計算方法」をご覧ください。

中古資産を買ったときのチェックリスト

  1. 取得価額を確認する:10万円未満・20万円未満・30万円未満なら、別の処理ができないか確認する
  2. 法定耐用年数を確認する:国税庁の耐用年数表で、資産の種類・構造・用途に合った年数を調べる
  3. 経過年数を確認する:車検証の初度登録年月、建物の登記簿の新築年月、機械の製造年月など
  4. 改修費用を確認する:取得価額の50%を超える資本的支出がないか
  5. 耐用年数を決める:見積法・簡便法・法定耐用年数のどれを使うか、取得した年度に決める
  6. 根拠資料を保存する:車検証の写し、登記簿、売買契約書、計算メモなど

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中古資産の耐用年数や減価償却費の計算は、手計算だとミスが起きやすい作業です。会計ソフトの固定資産台帳を使えば、取得日・取得価額・耐用年数・償却方法を登録するだけで、毎年の減価償却費を自動で計算でき、決算書や確定申告書にも反映されます。

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まとめ

  • 中古資産は、新品の法定耐用年数をそのまま使わず、見積法または簡便法で短い耐用年数にできる
  • 簡便法:全部経過なら法定耐用年数 × 20%、一部経過なら(法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 20%。1年未満切り捨て、2年未満は2年
  • 耐用年数は最短2年。法定耐用年数10年未満の資産は、全部経過していれば2年。普通自動車は4年落ちで2年。経過年数は月数で計算するとより正確
  • 耐用年数2年なら、法人の定率法は償却率1.000(取得年度に月割りで償却)、個人事業主の定額法は0.500(2年で償却)。ただし、年度末に買うと1か月分しか償却できない
  • 見積法は、残りの使用可能期間を根拠をもって見積もれる場合に使う
  • 取得価額の50%を超える改修をした場合は簡便法が使えない。簡便法は取得した年度に選ぶ必要がある
  • 短い耐用年数は経費を前倒しするだけで、合計額は変わらない。利益の状況や売却の予定も考えて決める
  • 税法の取扱いは改正されることがあるため、最新の情報を確認する

中古資産は、上手に使えば設備投資の負担を抑えつつ、早めに経費にできる選択肢です。購入したら、最初の決算で耐用年数をきちんと決めておきましょう。判断に迷う場合は、税理士に相談しましょう。

※本記事は2026年11月時点の税法の情報をもとに作成しています。税法の取扱いは改正されることがあるため、実際に処理をする際は国税庁などの最新情報を確認し、個別の判断については税理士等の専門家にご確認ください。

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