「年収の壁」の最新版まとめ(2026年・令和8年分)|103万円から160万円・178万円へ変わった壁の種類と、配偶者控除・扶養・社会保険への影響

「103万円の壁がなくなったと聞いたけど、今はいくらまで働いていいの?」「160万円、178万円、130万円……壁が多すぎてわからない」——パートやアルバイトで働く方、そのご家族にとって、「年収の壁」は毎年のように話題になるテーマです。

2025年・2026年の税制改正で、税金の壁は大きく変わりました。2026年分(令和8年分)は、本人に所得税がかかり始める年収が178万円に引き上げられ、配偶者控除などの扶養の基準も上がっています。一方で、社会保険の130万円の壁は変わっていません。

この記事では、最新の「年収の壁」を一覧で整理し、どの壁を意識すればいいのかを、働き方別にわかりやすく解説します。

なお、年収の壁は、税制改正や社会保険の制度改正で毎年のように見直されています。また、2026年分の一部の控除は2026年分・2027年分に限った特例です。本記事は2026年11月時点の情報をもとにしていますので、実際に働き方を決める際は、国税庁・厚生労働省や勤務先の最新情報を確認するようにしてください。

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

年収の壁は「税金の壁」と「社会保険の壁」の2種類

「年収の壁」と呼ばれるものは、大きく分けて次の2種類があります。

税金の壁 社会保険の壁
何が起きる? 本人に住民税・所得税がかかり始める/家族(配偶者や親)の控除が減る 家族の扶養から外れて、本人が社会保険料を払うことになる
影響の大きさ 税額は少しずつ増えるため、手取りが急に減ることは少ない 保険料の負担が一気に発生し、手取りが大きく減ることがある
主な壁 約110万円(住民税)、136万円、178万円 など 106万円(2026年10月に賃金要件が撤廃)、130万円

手取りへの影響が大きいのは、社会保険の壁です。税金の壁は、超えても税金が少しずつ増えるだけなので、「働き損」になることはほとんどありません。

2026年分(令和8年分)の年収の壁 一覧

年収(給与収入のみの場合) 何が起きる? 種類
約110万円前後 本人に住民税がかかり始める(金額は自治体によって異なる) 税金
106万円(月8.8万円) 勤務先の社会保険に加入する賃金の基準 → 2026年10月に撤廃。週20時間以上働くなどの要件を満たすと、年収にかかわらず加入 社会保険
130万円 家族の社会保険の扶養から外れる(国民健康保険・国民年金などに加入) 社会保険
136万円 家族の配偶者控除・扶養控除の対象から外れる(配偶者は配偶者特別控除に移行) 税金(家族側)
150万円 19歳以上23歳未満の子などが、家族の社会保険の扶養から外れる(配偶者を除く) 社会保険
169万円 配偶者の配偶者特別控除が満額(38万円)でなくなり、段階的に減り始める 税金(家族側)
178万円 本人に所得税がかかり始める 税金
207万円 配偶者特別控除がゼロになる 税金(家族側)

※給与収入のみの場合の目安です。配偶者控除・配偶者特別控除は、控除を受ける側(夫や妻)の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件で、所得が900万円を超えると控除額が減ります。19歳以上23歳未満の子などの税金の扱い(特定親族特別控除)は後述します。

103万円の壁はどう変わった?(2024年→2025年→2026年)

壁 2024年分まで 2025年分 2026年分
本人に所得税がかかり始める 103万円 160万円 178万円
配偶者控除・扶養控除の対象(配偶者・家族の年収) 103万円 123万円 136万円
配偶者特別控除が満額(38万円)の上限 150万円 160万円 169万円
配偶者特別控除がゼロになる 201万円 201万円 207万円

178万円の内訳

2026年分の178万円は、次の2つの控除の合計です。

  • 給与所得控除の最低額:74万円(2024年分までは55万円、2025年分は65万円)
  • 基礎控除:104万円(本則の62万円に、所得が一定以下の人への上乗せ42万円を加えた額)

ただし、基礎控除の上乗せや給与所得控除の特例の一部は、2026年分・2027年分に限った特例です。また、基礎控除の上乗せは所得が増えると段階的に小さくなります。2028年分以降は金額が変わる可能性があるため、毎年確認が必要です。

2026年分の年末調整での変更点については、「【2026年】年末調整の書き方|令和8年分の変更点と申告書の記入ポイント」でも解説しています。

社会保険の壁(106万円・130万円)

106万円の壁は「時間の壁」へ

勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入するかどうかの基準のうち、月額賃金8.8万円(年収約106万円)以上という賃金要件は、2026年10月に撤廃されました。今後は、週20時間以上働くなどの要件を満たせば、年収にかかわらず社会保険に加入します。

また、加入の対象となる勤務先の規模(現在は従業員51人以上)も、2027年10月以降、段階的に小さくなっていく予定です。つまり、社会保険の壁は「年収」よりも「働く時間」と「勤務先の規模」で決まるようになりつつあります。

勤務先の社会保険に加入すると、保険料の負担は生じますが、将来の厚生年金が増える、病気やけがのときに傷病手当金を受け取れるといったメリットもあります。

130万円の壁は変わらない

勤務先の社会保険に加入しない場合でも、年収が130万円以上になると、家族(夫や妻)の社会保険の扶養から外れ、自分で国民健康保険と国民年金に加入することになります。保険料の負担は年間で数十万円になることもあり、130万円を少し超えたくらいでは、手取りがかえって減る「働き損」が起きやすいのがこの壁です。

  • 130万円は、今後1年間の収入見込みで判断するのが一般的。交通費を含めるなど、税金の年収とは計算方法が異なる
  • 繁忙期の残業などで一時的に収入が増えた場合は、勤務先の証明があれば、引き続き扶養にとどまれる取扱いもある(最終的な判断は家族の加入している健康保険の保険者が行う)
  • 19歳以上23歳未満の子など(配偶者を除く)は、2025年10月から扶養の基準が150万円未満に引き上げられている

大学生などの子どもの場合(特定親族特別控除)

19歳以上23歳未満の子ども(大学生など)がアルバイトをしている場合、親の税金の控除は、子どもの年収に応じて次のようになります(2026年分)。

子どもの年収(給与のみ) 親が受けられる控除
136万円以下 特定扶養控除(63万円)
136万円超〜159万円以下 特定親族特別控除(満額63万円)
159万円超〜197万円以下 特定親族特別控除(年収が増えるにつれて段階的に減る)
197万円超 控除なし

子どもの年収が136万円を超えても、親の控除がすぐにゼロになるわけではありません。ただし、社会保険の扶養(150万円)や、勤務先の家族手当の基準は別なので、あわせて確認しましょう。

働き方別:どの壁を意識すればいい?

働き方 意識したい壁 考え方
家族の扶養に入り、週20時間未満で働く 130万円 130万円を少し超えると手取りが減りやすい。超えるなら、思い切って大きく増やすか、勤務先の社会保険に入れる働き方を検討する
勤務先の規模が大きく、週20時間以上働く 勤務先の社会保険の加入 年収にかかわらず加入になる。保険料はかかるが、将来の年金や保障が厚くなる
税金だけを気にしている 136万円・178万円 超えても税金が少しずつ増えるだけで、手取りが逆転することはほとんどない
家族の勤務先に配偶者手当・家族手当がある 勤務先が決めた基準 手当の支給基準(103万円・130万円など)は会社ごとに異なる。改正後も古い基準のままの会社もあるため確認する

年収の壁を考えるときは、「税金」「社会保険」「勤務先の手当」の3つを分けて確認するのがポイントです。そのうえで、目先の手取りだけでなく、将来の年金や保障も含めて、働き方を考えましょう。

家族を雇っている個人事業主・社長の方へ

個人事業主や小さな会社の社長が、配偶者や子どもに給与を払っている場合も、ここで紹介した年収の壁が関係します。家族の給与の金額は、家族の手取り、事業の経費、扶養や社会保険の扱いをあわせて決める必要があります。年末調整のやり方は「【一人社長向け】初めての年末調整のやり方とスケジュール」で解説しています。

給与や家計の管理をラクにするなら

パートの収入が年収の壁に近づいていないか、家族の給与をいくらにするかを判断するには、毎月の収入を把握しておくことが大切です。個人事業主の方は、会計ソフトを使えば、家族への給与の支払いも含めて帳簿や確定申告をまとめて管理できます。

代表的なサービスとして「マネーフォワード クラウド」と「freee会計」があります。無料で試せるプランが用意されていることも多いので、実際の画面を触って使いやすいほうを選ぶのがおすすめです。

マネーフォワード クラウド

会計・確定申告・請求書などのサービスをまとめて提供しており、複数の業務を一つのシリーズで管理したい方に向いています。

マネーフォワード【マネーフォワード クラウド】

freee会計

簿記の知識が少なくても使いやすい画面づくりが特徴で、経理初心者や個人事業主・小規模な会社に向いているクラウド会計ソフトです。

freee会計【freee会計】

※対応機能や料金プランは変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

まとめ

  • 年収の壁は、税金の壁と社会保険の壁の2種類。手取りへの影響が大きいのは社会保険の壁
  • 2026年分は、本人に所得税がかかり始める年収が178万円(2025年分は160万円、2024年分までは103万円)
  • 配偶者控除・扶養控除の対象は136万円まで。配偶者特別控除は169万円まで満額、207万円でゼロ
  • 社会保険の106万円の壁(賃金要件)は2026年10月に撤廃。週20時間以上などの要件で加入が決まる
  • 130万円の壁は変わらない。超えると家族の扶養から外れ、手取りが減りやすい(19〜22歳の子などは150万円)
  • 2026年分の控除の一部は2026・2027年分の特例。勤務先の手当の基準も含めて、毎年最新の情報を確認する

「壁」は、知っていれば怖くありません。税金・社会保険・勤務先の手当を分けて確認し、目先の手取りと将来の安心の両方から、自分に合った働き方を選びましょう。判断に迷う場合は、勤務先の担当者や、税務署・年金事務所、税理士・社会保険労務士に相談しましょう。

※本記事は2026年11月時点の税法・社会保険の情報をもとに作成しています。年収の壁にかかわる制度は改正されることがあり、住民税の基準は自治体によって、社会保険の扶養の判定は保険者によって異なる場合があります。実際の判断にあたっては国税庁・厚生労働省・勤務先などの最新情報を確認し、個別の判断については専門家にご確認ください。