補助金・助成金を受け取ったときの税金と経理処理|課税対象になるか、圧縮記帳とは何か
「持続化補助金が採択されて、やっと入金された。でも、これって売上と同じように税金がかかるの?」「IT導入補助金の交付決定は去年なのに、入金は今年。どちらの年の収入にすればいいの?」——補助金をもらったときに、多くの個人事業主や小さな会社の経営者がつまずくポイントです。
結論から言うと、補助金・助成金は原則として課税の対象です。そして、収入に計上するタイミングは「入金された日」ではなく、原則として「補助金の額が確定した日」です。また、補助金で機械やパソコンなどの固定資産を買った場合は、「圧縮記帳」(個人事業主は「総収入金額不算入」)という仕組みを使うと、補助金にすぐ税金がかかるのを避けられることがあります。
この記事では、補助金を受け取ったときの税金と経理処理を、仕訳の例を交えてわかりやすく解説します。
なお、税法や補助金の制度は改正・変更されることがあります。本記事は執筆時点の情報をもとにしていますので、実際に処理をする際は、国税庁や各補助金の公募要領・交付規程などの最新情報を確認するようにしてください。
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
補助金・助成金は課税される?
補助金や助成金は、返済の必要がないお金です。そのため「もらったお金だから税金はかからない」と思われがちですが、事業のために受け取った補助金・助成金は、原則として事業の収入(益金)として課税されます。
| 税金 | 扱い |
|---|---|
| 所得税(個人事業主) | 事業所得の総収入金額に含める(勘定科目は「雑収入」など) |
| 法人税(法人) | 益金に含める(勘定科目は「雑収入」「補助金収入」など) |
| 消費税 | 対価性がないため不課税(課税売上高にも含めない) |
なお、法律で非課税と定められた給付金(たとえば2020年に一律10万円が配られた特別定額給付金など)は課税されません。受け取ったお金が非課税にあたるかどうかは、その給付金の根拠となる法律や、国税庁の案内で確認しましょう。
「経費で落とした分」とセットで考える
補助金に税金がかかると聞くと損をした気分になりますが、補助金の対象になった広告費や外注費などは、その年の経費として計上できます。たとえば、80万円の広告費を支払い、そのうち50万円が補助金で戻ってきた場合、収入に計上する補助金50万円と、経費の80万円がセットになるため、実質的には「自己負担した30万円分が経費になる」のと同じ結果になります。
補助金を収入に計上するタイミング
補助金でいちばん迷いやすいのが、「いつの収入にするか」です。持続化補助金やIT導入補助金は、申請してから入金されるまでに長い時間がかかり、途中で年をまたぐことも珍しくありません。
補助金が入金されるまでの流れ
- 申請:事業計画書などを提出する
- 採択・交付決定:補助金を出すことが決まる(この時点では、まだ金額は確定していない)
- 補助事業の実施:広告の出稿、ソフトの導入、設備の購入などを行い、代金を支払う
- 実績報告:かかった経費の証拠書類(見積書・請求書・領収書など)を提出する
- 額の確定(確定通知):実績報告の審査を経て、交付される補助金の金額が確定する
- 請求・入金:補助金を請求し、指定の口座に入金される
原則は「額の確定」があった日
補助金は、実績報告の審査の結果、補助対象と認められない経費があれば減額されることがあります。そのため、交付決定の時点では、まだ受け取る金額が決まっていません。
一般的には、確定通知などで交付される金額が確定した日の属する年(法人は事業年度)に、収入として計上するのが原則とされています。入金がその後になっても、入金を待たずに「未収入金」として計上します。
| タイミング | 収入に計上する? |
|---|---|
| 採択・交付決定 | 原則として、まだ計上しない(金額が未確定のため) |
| 額の確定(確定通知) | この日の属する年・事業年度に計上する |
| 入金 | 入金された日ではなく、確定した年に計上済みの未収入金を消し込む |
※補助金の種類や交付規程の内容によって、取扱いが異なる場合があります。判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認してください。
よくある「年またぎ」のケース
たとえば、個人事業主が次のように持続化補助金を受け取ったとします。
- 2026年5月:交付決定
- 2026年9月:チラシ・Web広告の費用75万円を支払い
- 2026年12月:実績報告を提出
- 2027年2月:確定通知(補助金額50万円)
- 2027年4月:入金
この場合、広告費75万円は支払いをして広告を出した2026年の経費になり、補助金50万円は額が確定した2027年の収入になるのが原則です。「入金された2027年4月」でも「交付決定の2026年5月」でもない点に注意しましょう。
経費と収入の年がずれるため、2026年は経費だけが先に出て所得が小さくなり、2027年は補助金の分だけ所得が大きくなります。2027年分の確定申告で補助金の計上を忘れないよう、確定通知の書類はすぐにわかる場所に保管しておきましょう。
雇用関係の助成金は計上時期が違うことも
厚生労働省の雇用関係の助成金(雇用調整助成金など)のうち、休業手当や賃金などの経費を補填するものは、法人税の通達(法人税基本通達2-1-42)で、補填の対象となった休業や支払いなどの事実があった事業年度に、金額を見積もってでも計上するとされています。一方、一定の雇用環境の整備などに対して支給される奨励金のようなものは、支給決定があった事業年度に計上します。
「補助金」と「助成金」では考え方が異なる場合があるため、受け取るお金がどちらにあたるのか、何を補填するお金なのかを確認しておきましょう。
補助金を受け取ったときの仕訳例
ここでは、経費の補助を受けた場合の基本的な仕訳を紹介します。個人事業主も法人も、考え方は同じです。
1. 補助対象の経費を支払ったとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 750,000 | 普通預金 | 750,000 |
2. 補助金の額が確定したとき(確定通知を受けた日)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 500,000 | 雑収入 | 500,000 |
消費税は不課税として処理します。会計ソフトで入力するときは、税区分が「課税売上」になっていないか確認しましょう。
3. 補助金が入金されたとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 500,000 | 未収入金 | 500,000 |
額の確定と入金が同じ年の中であれば、入金の日に「普通預金/雑収入」とまとめて記帳しても、その年の所得は変わりません。ただし、年末(決算日)をまたぐ場合は、上のように未収入金を使って、確定した年に収入を計上しておく必要があります。
圧縮記帳とは?補助金で固定資産を買った場合
補助金で、機械や設備、パソコン、ソフトウェアなどの固定資産を購入した場合は、少し事情が変わります。
固定資産の購入代金は、その年に全額を経費にできるわけではなく、減価償却によって何年かに分けて経費にしていきます。一方、補助金は確定した年に一括で収入になります。そのため、何もしないと、補助金を受け取った年に大きな所得が出て、税金だけが先にかかってしまうことになります。
これを避けるための仕組みが「圧縮記帳」です。
圧縮記帳の仕組み(法人の場合)
法人の場合、国や地方公共団体などから交付を受けた補助金(国庫補助金等)で固定資産を取得したときは、補助金の額の範囲内で、固定資産の帳簿価額を減らし、その減らした額を損金にできます(法人税法42条)。
たとえば、90万円の機械を購入し、そのうち60万円が補助金でまかなわれた場合は、次のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| 機械の購入 | 機械装置 | 900,000 | 普通預金 | 900,000 |
| 補助金の額の確定 | 未収入金 | 600,000 | 雑収入(補助金収入) | 600,000 |
| 圧縮記帳 | 固定資産圧縮損 | 600,000 | 機械装置 | 600,000 |
補助金の収入600,000円と、固定資産圧縮損600,000円が相殺されるため、補助金を受け取った年に、補助金の分の所得は発生しません。機械の帳簿価額は300,000円になり、以後はこの300,000円をもとに減価償却していきます。
上の例は、資産の帳簿価額を直接減らす「直接減額方式」です。このほかに、決算の手続きで圧縮積立金を積み立てる「積立金方式」もあります。
圧縮記帳は「税金の免除」ではなく「先送り」
圧縮記帳をすると、資産の帳簿価額が小さくなる分、毎年の減価償却費も小さくなります。上の例でいえば、本来は90万円分を減価償却できたところ、30万円分しか減価償却できません。
つまり、圧縮記帳は補助金への課税をなくす制度ではなく、減価償却を通じて、税金を将来に分けて払う(課税を繰り延べる)制度です。補助金を受け取った年に、まとまった税金の支払いが発生するのを防げるのがメリットです。
個人事業主は「総収入金額不算入」
個人事業主の場合は、法人の圧縮記帳と同じような仕組みとして、「国庫補助金等の総収入金額不算入」(所得税法42条)があります。
- 補助金のうち、固定資産の取得や改良にあてた部分の金額を、事業所得の総収入金額に含めない
- その代わり、固定資産の取得価額は補助金を差し引いた金額になり、その金額をもとに減価償却する
主な要件は、次のとおりです。
- 国や地方公共団体などから交付を受けた、固定資産の取得・改良のための補助金であること
- その補助金で、交付の目的に合った固定資産を取得・改良したこと
- その年の12月31日までに、補助金の返還が不要であることが確定していること
- 確定申告書に、この規定の適用を受ける旨を記載し、明細書を添付すること
法人の場合も、事業年度の終わりまでに返還不要が確定していることなどが要件になります。確定申告の手続きをしなければ適用されないため、申告のときに忘れないように注意しましょう。
圧縮記帳を使うかどうかの判断
圧縮記帳(総収入金額不算入)は、使わなければいけない制度ではなく、使うかどうかを選べる制度です。
- 使ったほうがよい場合:補助金を受け取った年の所得が大きく、税率も高くなりそうなとき
- 使わなくてもよい場合:その年が赤字に近く、補助金を収入にしてもほとんど税金がかからないとき(将来の減価償却費を大きくしておいたほうが有利なこともある)
また、圧縮記帳をした後の取得価額が少額になる場合の、少額減価償却資産の特例などとの関係にも注意が必要です。金額が大きい場合は、税理士に相談したうえで判断しましょう。
持続化補助金・IT導入補助金の注意点
持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、チラシやWeb広告、展示会への出展、店舗の改装などの費用の一部を補助するものです。補助対象の多くは広告費などの経費なので、基本的には「経費は支払った年の経費、補助金は額が確定した年の収入」として処理します。補助金で機械装置などを購入した場合は、圧縮記帳(総収入金額不算入)の対象になるかを検討しましょう。
IT導入補助金
IT導入補助金は、会計ソフトや受発注システムなどのITツールの導入費用を補助するものです。導入するツールによって、処理が変わります。
- 買い切りのソフトウェア(無形固定資産になるもの):減価償却の対象。圧縮記帳(総収入金額不算入)を検討する
- クラウドサービスの利用料など:支払った期間の経費(通信費・支払手数料など)。補助金は額が確定した年の収入
なお、IT導入補助金では、ITツールの販売会社(IT導入支援事業者)が手続きの一部を行います。補助金を受け取ったことを理由に、販売会社からお金を還元してもらうような行為は不正受給にあたるとされているので注意しましょう。
消費税の仕入控除税額の報告・返還
補助金そのものは消費税の不課税ですが、補助金を使って支払った経費や設備の代金には、消費税が含まれています。消費税の課税事業者は、この消費税を仕入税額控除として差し引けるため、補助金の制度によっては、「補助金で支払った分の消費税まで控除するのは二重取りになる」として、仕入控除税額の報告や返還を求められることがあります。
持続化補助金のように、はじめから消費税を補助対象外(税抜の金額で補助額を計算する)としている制度もあります。自分が受け取る補助金がどちらにあたるかは、公募要領や交付規程で確認しましょう。
補助金の経理で気をつけたいこと
- 書類を保存する:交付決定通知書、確定通知書、実績報告の控え、見積書・請求書・領収書などは、補助金の事務局の検査や税務調査で確認されることがあります。帳簿書類とあわせて保存しましょう。
- 補助金で買った資産は勝手に処分しない:補助金で取得した一定の資産は、一定期間、事務局の承認なく売却・廃棄・転用できないなどの制限がかかる場合があります。
- 収入の計上漏れに注意:補助金は請求書を発行する売上とは違うため、帳簿への記録が漏れやすい収入です。確定通知を受けたら、その時点で記帳しましょう。
- 返還が必要になった場合:要件を満たさなかったなどの理由で補助金を返還することになった場合の処理は、状況によって異なります。早めに税理士に相談しましょう。
補助金の経理をラクにするなら
補助金を受け取ると、未収入金の管理や、不課税の税区分の設定、固定資産の減価償却など、普段の帳簿付けよりも気をつける点が増えます。会計ソフトを使えば、仕訳の入力や固定資産台帳の管理、確定申告書・決算書の作成までまとめて行えます。
代表的なサービスとして「マネーフォワード クラウド」と「freee会計」があります。無料で試せるプランが用意されていることも多いので、実際の画面を触って使いやすいほうを選ぶのがおすすめです。
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まとめ
- 事業のために受け取った補助金・助成金は、原則として課税対象(個人は事業所得の総収入金額、法人は益金)。消費税は不課税
- 補助金を収入に計上するのは、入金日ではなく、原則として額が確定した日の属する年・事業年度。年をまたぐときは未収入金で計上する
- 経費の補助なら、経費は支払った年、補助金は確定した年。年がずれることがあるので計上漏れに注意
- 雇用関係の助成金は、補填の対象となった事実があった時期に見積計上するものなど、計上時期の考え方が異なる場合がある
- 補助金で固定資産を買った場合は、圧縮記帳(個人は総収入金額不算入)で、補助金への課税を将来に繰り延べられる
- 圧縮記帳は税金の免除ではなく先送り。返還不要の確定や、申告書への記載・明細書の添付などの要件がある
- 制度は改正・変更されることがあるため、処理の時点で最新のルールや交付規程を確認する
補助金は、受け取って終わりではなく、帳簿への記録と申告までがセットです。確定通知が届いたら、その日のうちに記帳しておくと安心です。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談しましょう。
※本記事は2026年11月時点の税法・制度の情報をもとに作成しています。税法や補助金の制度は改正・変更されることがあるため、実際に処理をする際は国税庁や各補助金の公募要領・交付規程などの最新情報を確認し、個別の判断については税理士等の専門家にご確認ください。

