事業用と私用が混ざったレシートはどう経費処理する?仕訳と消費税の計算、混在させないコツ
「コピー用紙を買うついでに、家の洗剤も一緒にレジに通してしまった」「スーパーで打ち合わせ用のお茶と自分のお菓子を一緒に買った」——1枚のレシートに事業用と私用の買い物が混ざってしまうことは、個人事業主や小さな会社の社長にとってよくあることです。
結論から言うと、レシートに私用の品物が混ざっていても、事業用の品物の分だけを経費にすれば問題ありません。この記事では、レシートへの印のつけ方、支払い方法別の仕訳、消費税(軽減税率)の計算、やってはいけないことまで、具体例でわかりやすく解説します。
なお、税法は税制改正などによって変わることがあります。本記事は執筆時点のルールをもとにしていますので、実際に経費計上する際は、その時点の最新情報を国税庁のWebサイトなどで確認するようにしてください。
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基本の考え方:事業用の分だけを経費にする
経費にできるのは、事業のために必要な支出だけです。1枚のレシートに私用の品物が含まれている場合でも、レシートの合計額をそのまま経費にするのではなく、事業用の品物の金額だけを抜き出して経費にします。
私用分を除いて記帳していれば、レシートに私用の品物が載っていること自体は問題ありません。大切なのは、どれが事業用で、どれが私用なのかを後から説明できるようにしておくことです。
具体例:1枚のレシートに事業用と私用が混在
ホームセンターで、次のような買い物をしたケースで考えてみましょう。
| 品名 | 税率 | 金額(税込) | 区分 |
|---|---|---|---|
| コピー用紙 | 10% | 880円 | 事業用 |
| ボールペン | 10% | 330円 | 事業用 |
| お茶(来客用) | 8%(軽減) | 216円 | 事業用 |
| 洗濯用洗剤 | 10% | 440円 | 私用 |
| お菓子 | 8%(軽減) | 324円 | 私用 |
| 合計 | 2,190円 | 事業用 1,426円/私用 764円 | |
ステップ1:レシートに印をつける
まず、レシートの事業用の品物に丸をつける、または私用の品物に線を引くなどして、区別がわかるようにします。余白に「事業用 1,426円」のように金額をメモし、お茶のように用途がわかりにくいものは「来客用」などと書き添えておくと安心です。
レシートは切り取ったり、私用部分を消したりせず、1枚のまま保存しましょう。
ステップ2:支払い方法に合わせて仕訳する
同じレシートでも、何で支払ったかによって仕訳が変わります。
個人事業主が「事業用のカード・口座」で支払った場合
事業のお金で私用の品物も払っているため、私用分は「事業主貸」で処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 1,210円 | 未払金(事業用カード) | 2,190円 |
| 会議費 | 216円 | ||
| 事業主貸 | 764円 |
個人事業主が「プライベートのお金・カード」で支払った場合
事業用の品物を個人のお金で立て替えた形になるため、事業用の分だけを「事業主借」で記帳します。私用分は帳簿に載せる必要はありません。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 1,210円 | 事業主借 | 1,426円 |
| 会議費 | 216円 |
法人で「会社のカード」で支払った場合
会社のお金で社長個人の品物を買ったことになるため、私用分は社長から会社に返してもらうのが基本です。返してもらうまでは「役員貸付金」などで処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 1,210円 | 未払金(法人カード) | 2,190円 |
| 会議費 | 216円 | ||
| 役員貸付金 | 764円 |
私用分を返してもらわずに会社の経費のままにしておくと、社長への給与(役員賞与)と判断され、会社は損金にできず、社長個人にも所得税がかかる可能性があります。
法人で「社長個人のお金」で立て替えた場合
事業用の分だけを、会社が社長に精算する形で処理します。精算するまでは「未払金」などを使います。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 1,210円 | 未払金(社長立替分) | 1,426円 |
| 会議費 | 216円 |
消費税(軽減税率・インボイス)の扱い
消費税の課税事業者が仕入税額控除を行う場合は、事業用の品物の分だけを、税率ごとに区分して計算します。
| 区分 | 事業用の金額(税込) | 消費税額の目安 |
|---|---|---|
| 10%対象(コピー用紙・ボールペン) | 1,210円 | 1,210円 × 10/110 = 110円 |
| 8%対象(来客用のお茶) | 216円 | 216円 × 8/108 = 16円 |
レシートに記載されている消費税額は私用分も含めた合計なので、そのまま使わず、事業用の金額から計算し直す必要があります。会計ソフトでは、1枚のレシートを税率・勘定科目ごとに複数行に分けて入力すると、自動で正しく計算されます。
また、仕入税額控除にはインボイス(適格簡易請求書)の保存が必要です。レシートに登録番号が記載されているか確認しましょう。私用分が混ざっていても、レシートそのものはインボイスとして有効です。
どちらにも使う品物は「家事按分」
自宅兼事務所で使うティッシュや洗剤、電池など、事業とプライベートの両方で使う品物は、はっきり区別できません。この場合は、使用割合などの合理的な基準で家事按分し、事業用の割合だけを経費にします。
ただし、少額の日用品まで細かく按分すると手間が増えるうえ、根拠も説明しにくくなります。事業用は事業用として別に買うほうが、処理も説明も簡単です。
ネット通販・電子レシートの場合
Amazonや楽天市場などのネット通販で、1回の注文に事業用と私用の商品をまとめて購入した場合も、考え方は同じです。注文履歴や領収書(PDF)で事業用の商品を確認し、その分だけを経費にします。
ダウンロードした領収書や電子レシートは、電子帳簿保存法のルールに沿って電子データのまま保存する必要があります。ファイル名やメモ欄に「事業用:コピー用紙・トナー」のように記録しておくと、後から確認しやすくなります。
やってはいけないこと
- レシートの合計額をそのまま経費にする:私用分まで経費にすると、税務調査で否認され、追加の税金や加算税がかかります。
- 私用の品物を事業用と偽って記録する:事実を偽る「仮装」にあたり、重加算税という重いペナルティの対象になることがあります。
- レシートの私用部分を切り取る・書き換える:改ざんを疑われる原因になります。印やメモを書き加えるのはよいですが、元の記載は残しましょう。
- 「どうせ少額だから」と区別しない:1回は少額でも、積み重なると大きな金額になり、帳簿全体の信頼性も下がります。
そもそも混在させないためのコツ
- レジで会計を分けてもらう:「事業用と分けてください」と伝えれば、多くのお店で別会計にしてもらえます。これがいちばん確実で、後の処理もラクです。
- 支払い手段を分ける:事業用の買い物は事業用(法人)カード、私用はプライベートのカードと決めておきます。
- セルフレジでは2回に分けて精算:事業用の品物だけを先にスキャンして精算し、その後で私用の品物を精算します。
- ネット通販は注文を分ける:事業用と私用で注文を分けるか、事業用のアカウントを作ると、領収書が自動的に分かれます。
経費管理をラクにするなら
1枚のレシートを勘定科目・税率ごとに分けて入力したり、事業主貸や役員貸付金を正しく使い分けたりするのは手間がかかります。クラウド会計ソフトを使えば、レシートをスマホで撮影して取り込み、明細を分けて仕訳する作業もスムーズに行えます。
代表的なサービスとして「マネーフォワード クラウド」と「freee会計」があります。無料で試せるプランが用意されていることも多いので、実際の画面を触って使いやすいほうを選ぶのがおすすめです。
マネーフォワード クラウド
会計・請求書・経費精算などのサービスをまとめて提供しており、複数の業務を一つのシリーズで管理したい方に向いています。
freee会計
簿記の知識が少なくても使いやすい画面づくりが特徴で、経理初心者や個人事業主・小規模な会社に向いているクラウド会計ソフトです。
※対応機能や料金プランは変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
まとめ
- レシートに私用の品物が混ざっていても、事業用の分だけを経費にすれば問題ない
- レシートに印とメモをつけ、切り取らずに1枚のまま保存する
- 個人事業主は、事業用のお金で払った私用分を事業主貸、私的なお金で払った事業用分を事業主借で処理
- 法人は、私用分を社長に返してもらう(精算までは役員貸付金)。そのままだと役員賞与のリスク
- 消費税は事業用の分だけを税率ごとに計算し直す。レシートの消費税額をそのまま使わない
- いちばん確実なのは、レジで会計を分ける・支払い手段を分けること
- 税法は改正されることがあるため、経費計上の時点で最新のルールを確認する
判断に迷う場合は、税理士に相談するのが安心です。
※本記事は2026年11月時点の税法・情報をもとに作成しています。税法は税制改正などにより変わることがあるため、実際に経費計上する際は国税庁のWebサイトなどで最新の情報を確認し、個別の判断については税理士等の専門家にご確認ください。

