消費税の中間申告のしくみ|予定申告と仮決算の選び方と、中間納付の回数の決まり方

「税務署から『消費税の中間申告書』が届いた。予定申告と仮決算、どちらで申告すればいいの?」——消費税を納めるようになって2年目以降、多くの事業者が初めてこの通知を受け取ります。

消費税の中間申告は、前年(前期)の消費税額をもとに、今年の消費税の一部を前払いするしくみです。申告方法は、前年の実績で計算する「予定申告」と、今期の実績で計算する「仮決算」の2つがあり、どちらを選ぶかで納付額が変わることがあります。

この記事では、中間申告が必要になる条件と回数の決まり方、予定申告と仮決算の違いと選び方をわかりやすく解説します。

なお、税法の取扱いは改正されることがあります。本記事は執筆時点の情報をもとにしていますので、実際に申告する際は、国税庁などの最新情報を確認するようにしてください。

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消費税の中間申告とは

消費税は、本来は1年分(課税期間分)をまとめて確定申告・納付します。しかし、ある程度以上の消費税を納めている事業者は、1年分を一度に払うと負担が大きくなるため、年の途中で前払い(中間納付)をすることになっています。これが中間申告です。

中間納付した金額は、確定申告のときに年間の消費税額から差し引かれます。確定した税額より中間納付が多かった場合は、差額が還付されます。つまり、中間申告は「追加の税金」ではなく、あくまで前払いです。

中間申告が必要かどうか・回数の決まり方

中間申告の要否と回数は、直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を除いた国税部分の年税額)で決まります。

直前の課税期間の確定消費税額(国税部分) 中間申告の回数 1回あたりの中間納付額(国税部分)
48万円以下 原則不要(任意で年1回にできる) ―
48万円超〜400万円以下 年1回 前年税額の6/12
400万円超〜4,800万円以下 年3回 前年税額の3/12
4,800万円超 年11回 前年税額の1/12

実際に納める金額は、上の国税部分に地方消費税(国税部分の22/78)を加えた額です。判定の基準になる「48万円」などの金額には地方消費税は含まれないので、確定申告書の「消費税額」欄(国税部分)を見て確認しましょう。

消費税を納め始めた最初の年は、直前の課税期間に納めた消費税がないため、中間申告はありません。2年目以降に初めて通知が届くのはこのためです。課税事業者になる判定については「消費税の課税事業者の判定」の記事で解説しています。

中間申告の期限

年1回・年3回の場合、期限は中間申告の対象期間の末日の翌日から2か月以内です。

例 対象期間 期限
個人事業主(年1回) 1月〜6月 8月31日
3月決算の法人(年1回) 4月〜9月 11月30日
個人事業主(年3回) 1〜3月/4〜6月/7〜9月 5月31日/8月31日/11月30日

年11回の場合は、毎月のように申告・納付があり、最初の期限の決まり方が個人と法人で異なります。消費税の確定申告期限の延長特例を受けている法人は、中間申告の期限もずれる場合があります。法人の申告期限の延長については「法人税の申告期限と延長」の記事もご覧ください。

予定申告と仮決算の違い

項目 予定申告(前年実績による) 仮決算
計算方法 前年の確定消費税額 × 6/12(年1回の場合)など 中間申告の対象期間を1つの課税期間とみなして、実際の売上・仕入から計算
手間 ほぼなし(税務署から届く申告書に金額が印字されている) 帳簿を締めて、確定申告と同じように計算する必要がある
申告書を出さなかった場合 期限までに提出がなくても、提出したものとみなされる(納付は必要) 期限後には仮決算で申告できない
計算結果がマイナスの場合 ― 還付は受けられない(納付額0円)
添付書類 不要 売上・仕入の明細などの添付が必要

予定申告:前年の実績で計算する

予定申告は、前年の消費税額をもとに機械的に計算する方法です。税務署から送られてくる申告書や納付書には、すでに金額が記載されています。

予定申告の場合、申告書を期限までに提出しなくても、提出があったものとみなされます(みなし申告)。ただし、納付は期限までに必要です。納付が遅れると延滞税がかかります。

仮決算:今期の実績で計算する

仮決算は、中間申告の対象期間(年1回なら最初の6か月)を1つの課税期間とみなして、その期間の実際の売上や仕入から消費税額を計算する方法です。簡易課税制度を選んでいる事業者は、仮決算でも簡易課税で計算します。

注意したいのは、仮決算で計算した税額がマイナスになっても、中間申告で還付は受けられない点です。また、仮決算は期限内に申告書を提出した場合にだけ選べます。

どちらを選ぶべきか(選び方)

基本は「予定申告」でよい

売上や利益が前年と同じくらい、または増えている場合は、予定申告を選ぶのが基本です。手間がかからず、中間納付が多すぎた分は確定申告で精算されるため、最終的な消費税の負担は変わりません。

仮決算を検討したいケース

  • 今期の売上が前年より大きく減っている
  • 今期の前半に、設備投資などの大きな仕入(課税仕入)があった
  • 前年に一時的な大型取引があり、前年の税額が今期の実態より大きい
  • 中間納付で資金繰りが苦しくなるおそれがある

こうした場合、仮決算を選ぶと中間納付額を抑えられ、手元資金を残せます。ただし、仮決算を選んでも年間の消費税額自体は変わりません。払うタイミングを後ろにずらせるだけなので、その分は確定申告で納めることになります。

仮決算のデメリットも考える

  • 帳簿を対象期間の末日で締めて、正確に計算する必要がある
  • 税理士に依頼している場合は、追加の報酬がかかることがある
  • 期限を過ぎると選べない

予定申告との差額が数万円程度なら、手間や費用を考えると予定申告のほうが合理的なこともあります。差額と手間・費用を比べて判断しましょう。年3回・年11回の場合は、中間申告ごとに予定申告と仮決算を選べます。

具体例で見てみよう

例1:前年の消費税額(国税部分)が120万円の個人事業主

  • 中間申告は年1回(48万円超〜400万円以下)
  • 予定申告の中間納付額:120万円 × 6/12 = 60万円、地方消費税 60万円 × 22/78 ≒ 16.9万円、合計 約76.9万円
  • 期限は8月31日

今年の1〜6月の売上が大きく落ち込み、仮決算で計算すると国税部分が30万円だった場合、中間納付は30万円 + 地方消費税 約8.5万円 = 約38.5万円に抑えられます。差額の約38.4万円は、翌年3月の確定申告で精算することになります。

例2:前期の消費税額(国税部分)が600万円の法人(3月決算)

  • 中間申告は年3回(400万円超〜4,800万円以下)
  • 1回あたり:600万円 × 3/12 = 150万円、地方消費税 約42.3万円、合計 約192.3万円
  • 対象期間は4〜6月/7〜9月/10〜12月、期限はそれぞれ8月31日/11月30日/翌年2月末日

※いずれも計算を単純化した概算です。

中間申告で気をつけたいこと

納付資金を前もって確保しておく

中間納付は、売上が入ってから払う「預かった消費税」ではありますが、日々の運転資金と混ざっていると、納付の時期に資金が足りなくなることがあります。毎月の売上に含まれる消費税分を、別の口座に分けておくと安心です。

法人税・所得税の中間申告(予定納税)とは別のもの

法人の場合、前期の法人税額が一定額を超えると、法人税にも中間申告があります(法人税にも予定申告と仮決算があります)。個人事業主の場合は、所得税の「予定納税」(7月・11月)があります。消費税の中間申告とは別の手続きなので、それぞれの通知を確認しましょう。

税率の変更がある時期は計算方法の特例に注意

国税庁の案内では、2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの飲食料品の消費税率引下げにあたり、中間申告の計算方法の特例が設けられるとされています。飲食料品を扱う事業者は、対象期間の申告前に最新の情報を確認してください。

チェックリスト:中間申告の通知が届いたら

  • 前年(前期)の確定消費税額(国税部分)はいくらか。回数は年1回・3回・11回のどれか
  • 申告・納付の期限はいつか
  • 今期の売上や仕入は前年と比べて大きく変わっていないか
  • 仮決算にした場合の税額と、予定申告との差額はどれくらいか
  • 仮決算にする場合、期限内に帳簿を締めて申告できるか(税理士の費用も含めて)
  • 納付資金は確保できているか

消費税の計算や仮決算を効率化するなら

仮決算を選ぶには、対象期間の帳簿が締まっていて、売上や仕入の消費税額がすぐに集計できる状態になっている必要があります。会計ソフトを使えば、日々の取引を入力しておくだけで、期間ごとの消費税額を確認しやすくなり、予定申告と仮決算の比較もしやすくなります。

代表的なサービスとして「マネーフォワード クラウド」と「freee会計」があります。無料で試せるプランが用意されていることも多いので、実際の画面を触って使いやすいほうを選ぶのがおすすめです。

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会計・確定申告・請求書などのサービスをまとめて提供しており、複数の業務を一つのシリーズで管理したい方に向いています。

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まとめ

  • 消費税の中間申告は、前年の消費税額をもとにした前払い。確定申告で精算される
  • 回数は前年の確定消費税額(国税部分)で決まる:48万円超で年1回、400万円超で年3回、4,800万円超で年11回
  • 期限は対象期間の末日の翌日から2か月以内
  • 基本は手間のかからない予定申告。申告書を出さなくても提出したものとみなされるが、納付は必要
  • 売上が大きく減った年などは仮決算で中間納付を抑えられる。ただし還付はなく、期限後は選べない
  • 税法の取扱いは改正されることがあるため、最新の情報を確認する

初めての中間申告の通知は戸惑いがちですが、多くの場合は予定申告で納付するだけで大丈夫です。今期の業績が前年と大きく違うときだけ、仮決算との差額を比べてみましょう。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談しましょう。

※本記事は2026年11月時点の税法の情報をもとに作成しています。税法の取扱いは改正されることがあるため、実際に申告する際は国税庁などの最新情報を確認し、個別の判断については税理士等の専門家にご確認ください。

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