個人のカードで会社の経費を払っちゃった…そのままで大丈夫?ひとり社長の正しい立替精算と仕訳

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「法人カードがまだ届いていないから、とりあえず自分のカードで払っておいた」「ネットで買い物するとき、つい個人のカードを選んでしまう」――ひとり社長なら、一度は経験があるのではないでしょうか。

結論から言うと、個人のカードで会社の経費を払っても問題ありません。ただし、会社と社長の間で「誰が誰にいくら借りているか」をきちんと記録し、月に1回まとめて精算することが条件です。この記事では、正しい仕訳と精算の手順を、具体的な数字で解説します。

個人カードで払った経費は「会社が社長に借りているお金」として記録する

結論:個人カードで払った経費は、会社の経費として計上し、同時に「会社が社長に返すべきお金」として記録します。

社長が個人のカードで会社の文房具を買った場合、お金の流れはこうなります。

  • 買った文房具は会社のもの → 会社の経費
  • お金を出したのは社長個人 → 会社は社長にそのお金を返す義務がある

この「会社が社長に返すべきお金」を、会計では未払金(みばらいきん)という科目で記録します。つまり「まだ払っていない会社のツケ」ということです。あとで会社の口座から社長の口座へ振り込めば、ツケは解消されます。

なお、精算で社長が受け取るお金は「立て替えたお金が戻ってきただけ」なので、給料ではなく、所得税もかかりません。

具体的な仕訳は3パターンだけ覚えればOK

結論:「買ったとき」「精算したとき」の2つの仕訳が基本で、あとは「やってはいけない逆パターン」を知っておけば十分です。

パターン1:個人カードで経費を払ったとき

例として、4月中に社長が個人のカードで次の2つを支払ったとします。

  • 4月10日:仕事で使う書籍 3,300円
  • 4月15日:デザインツールの月額利用料 11,000円
借方(科目) 金額 貸方(科目) 金額 ポイント・摘要
新聞図書費 3,300 未払金 3,300 4/10 書籍代(社長個人カードで立替)
支払手数料 11,000 未払金 11,000 4/15 デザインツール利用料(社長個人カードで立替)

日付はカードの引き落とし日ではなく、買った日(利用日)で記録します。摘要に「社長立替」と書いておくと、あとで精算漏れを見つけやすくなります。

パターン2:月末に会社から社長へ精算したとき

4月30日に、会社の口座から社長個人の口座へ合計14,300円を振り込みます。

借方(科目) 金額 貸方(科目) 金額 ポイント・摘要
未払金 14,300 普通預金 14,300 4月分 立替経費精算(社長へ振込)

これで未払金はゼロになり、「会社のツケ」がきれいに解消されます。

パターン3(NG):会社の口座から社長の個人カード代を引き落としている

手間を省こうとして、社長個人のカードの引き落とし口座を会社の口座にしてしまうケースがあります。これは避けてください。カードの請求には私的な買い物も混ざるため、私用分は次のように処理することになります。

借方(科目) 金額 貸方(科目) 金額 ポイント・摘要
役員貸付金 50,000 普通預金 50,000 社長個人カードの私用分を会社口座から支払い(NG例)

役員貸付金とは、つまり「社長が会社からお金を借りている状態」のことです。残高が大きくなると、利息を計上する必要が出てきたり、銀行から融資の審査で厳しく見られたりします。会社の口座から出ていくのは、会社の経費と精算金だけにしましょう。

個人事業主時代のクセが一番の落とし穴

結論:法人には「事業主貸・事業主借」がないため、個人事業主時代のように「どっちの財布から払っても最後は同じ」とはなりません。

個人事業主のときは、事業用の口座から生活費を払っても「事業主貸」、個人のお金で経費を払っても「事業主借」で処理すれば済みました。事業もお金もすべて自分のものだったからです。

しかし法人は、社長とは別の「人格」です。会社のお金は社長のお金ではありません。そのため、次のような行動は法人ではNGになります。

  • 立て替えたまま精算しない:未払金(または役員借入金)が何年も残り続け、帳簿と実態がずれていきます。
  • 「どうせ自分の会社だから」と経費計上自体を忘れる:払ったのに経費にしていないため、払わなくてよい税金を払うことになります。
  • 精算額を「キリのいい金額」で適当に振り込む:金額の根拠がないと、税務調査で給料(役員報酬)扱いされるおそれがあります。

精算漏れは年8万円前後の「払いすぎ」につながる

結論:立替経費を記録し忘れると、その分だけ利益が大きく計算され、本来払わなくてよい税金を払うことになります。

年商1,000万円のひとり社長が、毎月3万円ほどを個人カードで立て替えているケースで考えてみましょう。

項目 金額
月の立替経費 30,000円
年間の立替経費 360,000円
すべて計上し忘れた場合に増える利益 360,000円
増える税金(実効税率を約22%と仮定) 約79,000円

※資本金1億円以下の中小法人の場合、所得800万円以下の部分の実効税率は、標準税率で計算すると約21〜23%です。自治体によって若干異なります。

さらに、精算していないと社長個人は36万円を「会社に貸しっぱなし」の状態です。きちんと精算すれば、この36万円は税金がかからずに社長の手元に戻ってきます。記録と精算は、手取りを守るための作業でもあるのです。

月1回の「立替経費精算書」で証拠を残す

結論:ひとり社長でも、立替経費精算書を1枚作って領収書と一緒に保存しておけば、税務調査で困りません。

立替経費精算書とは、つまり「社長が会社の代わりに払ったものの一覧表」です。決まった様式はなく、Excelやスプレッドシートで次の項目を並べれば十分です。

日付 支払先 内容・目的 金額 支払方法
4/10 〇〇書店 書籍(Web集客の参考書) 3,300 個人カード
4/15 〇〇デザイン デザインツール月額利用料 11,000 個人カード
合計 14,300 4/30 社長口座へ振込

保存するときのポイントは次の3つです。

  • 領収書・レシートは必ず残す:カードの利用明細だけでは「何を買ったか」がわからず、証拠として不十分です。消費税の計算(仕入税額控除)のためにも、インボイス(登録番号が入った領収書)を保存しましょう。
  • メールやWebで受け取った領収書はデータのまま保存:電子帳簿保存法により、ネットで買った領収書を印刷して原本データを消すのはNGです。
  • 宛名はできるだけ会社名で:宛名書きの領収書をもらうときは、社長個人名ではなく会社名にしておくと、会社の経費であることが明確になります。社長個人の名前が宛名の領収書(インボイス)でも、立替経費精算書とあわせて保存しておけば、消費税の仕入税額控除の対象にできます。宛名のないレシートは、そのまま保存すれば大丈夫です。

根本的な解決策は「立て替えない仕組み」を作ること

結論:立替精算そのものを減らすには、経費の支払いを法人カード1枚に集め、会計ソフトと連携するのが一番の近道です。

立替精算は、記録・精算書づくり・振込と、どうしても手間がかかります。法人カードで払うようにすれば、未払金の管理も精算の振込も不要になります。さらにクラウド会計ソフトにカードと口座を連携しておけば、利用明細が自動で取り込まれ、仕訳もほぼ自動で作られます。

クラウド会計ソフトの経費精算機能を使えば、どうしても個人カードで払う場面が残る場合も、経費精算の記録をクラウド上で一元管理できます。

代表的なサービスとして「マネーフォワード クラウド」と「freee会計」があります。無料で試せるプランが用意されていることも多いので、実際の画面を触って使いやすいほうを選ぶのがおすすめです。

マネーフォワード クラウド

会計・請求書・経費精算などのサービスをまとめて提供しており、複数の業務を一つのシリーズで管理したい方に向いています。

マネーフォワード【マネーフォワード クラウド】

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簿記の知識が少なくても使いやすい画面づくりが特徴で、経理初心者や個人事業主・小規模な会社に向いているクラウド会計ソフトです。

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※対応機能や料金プランは変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

まとめ

  • 個人カードで会社の経費を払っても問題ない。会社の経費+「未払金(会社のツケ)」として記録する
  • 月に1回、立替経費精算書を作って会社の口座から社長の口座へ精算する。精算で受け取るお金に税金はかからない
  • 法人には「事業主貸・事業主借」がない。立て替えっぱなしや、会社口座から個人カード代を払うのはNG
  • 計上漏れは税金の払いすぎに直結する(月3万円の漏れで年約8万円)
  • 根本的には、法人カード1枚に支払いを集めて会計ソフトと連携し、「立て替えない仕組み」を作る

今日からできる最初の一歩

まずは個人カードの今月分の利用明細を開き、会社の経費として払ったものに印をつけてみてください。それを日付・支払先・内容・金額の4項目で一覧にすれば、それがそのまま今月の立替経費精算書になります。合計額を会社の口座から自分の口座へ振り込めば、今月の精算は完了です。

※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。個別の取り扱いについては、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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