電子帳簿保存法の基本|経理初心者が押さえるべき3つの区分と保存ルール
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「電子帳簿保存法(電帳法)」という言葉を聞いたことはあっても、「結局、何をすればいいの?」と感じている経理初心者の方は多いのではないでしょうか。この記事では、電子帳簿保存法の全体像と、日々の業務で押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは、税金に関係する帳簿や書類を、紙ではなく電子データで保存するためのルールを定めた法律です。会社や個人事業主は、帳簿や請求書・領収書などを一定期間(法人は原則7年間)保存する義務がありますが、この法律によって「どんな条件を満たせば電子データで保存してよいか」が決められています。
特に重要なのが、2024年(令和6年)1月から、メールやWebで受け取った請求書などの「電子取引データ」は電子のまま保存することが義務化された点です。紙に印刷して保存するだけでは、原則として認められなくなりました。
電子帳簿保存法の3つの区分
電子帳簿保存法は、大きく次の3つに分かれています。
1. 電子帳簿等保存(任意)
会計ソフトなどで最初から電子的に作成した帳簿や書類を、電子データのまま保存する制度です。仕訳帳・総勘定元帳や、自社で作成した請求書の控えなどが対象です。対応するかどうかは任意です。
2. スキャナ保存(任意)
紙で受け取った領収書や請求書をスキャンやスマホ撮影で電子化して保存する制度です。一定の要件を満たせば、原本の紙を廃棄できます。こちらも対応は任意です。
3. 電子取引データ保存(義務)
メール添付のPDF請求書、ECサイトからダウンロードした領収書、クラウドサービスで受け取った請求書など、電子データでやり取りした取引情報を保存する制度です。この区分だけは、すべての事業者に対応が義務付けられています。
電子取引データ保存の2つの要件
電子取引データを保存するときは、「真実性」と「可視性」の2つの要件を満たす必要があります。
真実性の確保(改ざんされていないことを示す)
次のいずれかの方法で対応します。
- タイムスタンプが付与されたデータを受け取る、または受け取った後すみやかにタイムスタンプを付与する
- 訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除ができない)システムで受け取り・保存する
- 訂正・削除を防止するための事務処理規程を定めて運用する
中小企業や個人事業主の場合、費用をかけずに始められる「事務処理規程」の作成・運用がよく選ばれています。国税庁のWebサイトにひな形も公開されています。
可視性の確保(すぐに確認できるようにする)
- パソコンやディスプレイ、プリンタなど、データを表示・印刷できる環境を用意する
- 「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できるようにする
検索機能は、専用システムがなくても、ファイル名を「20261028_株式会社〇〇_55000.pdf」のように日付・取引先・金額のルールで付ける方法や、索引簿(一覧表)を作る方法で対応できます。
小規模事業者向けの緩和措置
すべての要件を完璧に満たすのが難しい事業者のために、次のような緩和措置があります。
- 検索要件の免除:税務調査でデータのダウンロードの求めに応じられることを前提に、前々年の売上高が5,000万円以下(税抜)であるか、電子データを印刷して日付・取引先ごとに整理しているなどの条件を満たせば、検索機能の確保が不要になります。
- 猶予措置:システム整備が間に合わないなど「相当の理由」があると税務署長が認める場合で、税務調査時にデータのダウンロードと印刷した書面の提示・提出に応じられるときは、保存要件を満たさずにデータを保存しておくことが認められます(事前申請は不要)。
ただし、どの場合でも「電子データそのものを保存しておくこと」は必要です。「印刷したから元データは削除」はNGなので注意しましょう。
経理初心者がまずやるべき3ステップ
- 電子取引を洗い出す:メール・Web・クラウドなど、どこで請求書や領収書を受け取っているかを一覧にします。
- 保存場所とファイル名ルールを決める:共有フォルダやクラウドストレージに保存先をまとめ、「日付_取引先_金額」の命名ルールを社内で統一します。
- 事務処理規程を整える:国税庁のひな形を参考に、訂正・削除を防止するための規程を作成し、運用を始めます。
電子帳簿保存法への対応をラクにするなら
ファイル名ルールや事務処理規程で対応することもできますが、請求書や領収書の量が増えてくると手作業での管理は大変になります。そんなときは、電子帳簿保存法への対応機能を備えたクラウドサービスを活用するのも一つの方法です。
代表的なサービスとして、「マネーフォワード クラウド」と「freee会計」があります。どちらもクラウド型の会計サービスで、受け取った請求書や領収書のデータをクラウド上で保存・管理できます。電子取引データの保存ルールを一から自分で整えるのが不安な方は、こうしたサービスの導入も検討してみましょう。無料で試せるプランが用意されていることも多いので、実際の画面を触って使いやすいほうを選ぶのがおすすめです。
マネーフォワード クラウド
会計・請求書・経費精算などのサービスをまとめて提供しており、複数の業務を一つのシリーズで管理したい方に向いています。
freee会計
簿記の知識が少なくても使いやすい画面づくりが特徴で、経理初心者や個人事業主・小規模な会社に選ばれているクラウド会計ソフトです。
※対応機能や料金プランは変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
今後の改正にも注目
電子帳簿保存法はたびたび改正されています。令和7年度税制改正では、一定の要件を満たすシステムで電子取引データを保存する場合に重加算税の加重措置の対象から外す特例や、個人事業主の青色申告特別控除の見直しなどが盛り込まれ、令和9年(2027年)1月以降の施行が予定されています。最新情報は国税庁のWebサイトで確認するようにしましょう。
まとめ
- 電子帳簿保存法は、帳簿や書類を電子データで保存するためのルール
- 「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3区分があり、電子取引データ保存は全事業者に義務
- 保存には「真実性」と「可視性」の確保が必要。事務処理規程とファイル名ルールで低コストに対応できる
- 小規模事業者には検索要件の免除や猶予措置がある
まずは自社の電子取引を把握するところから始めてみましょう。判断に迷う場合は、税理士や所轄の税務署に相談するのがおすすめです。
※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。制度の詳細は国税庁「電子帳簿保存法関係」のページをご確認ください。
